2009年12月21日

地底の楽園シャンバラ

800px-Himalayas.jpg

シャンバラはしばしばシャングリラと混同されるが
シャングリラはヒルトンが1933年に出版した「失われた地平線」に
登場する理想郷である。
シャングリラはおそらくシャンバラをモデルにしていると思われるが
言葉の起源としては陶淵明の「桃花源記」に登場する桃源郷のことだ。

その桃源郷は美しい桃林を舟で遡って洞窟を抜けたところにあり
村人は外の世界と交流を絶って暮らしていた。
桃源郷に迷い込んだ漁師は大歓迎されたが
ひとたびそこを出ると、二度と道を見つけることはできなかった。
この「桃源郷」がシャングリラのモデルなのだが
ヒルトンの小説で英国領事をはじめとする白人4名が行くシャングリラは
飛行機でカラコルムを越えて行くチベットの秘境ということになっている。

一方シャンバラはチベットの教典「カーラチャクラ」に登場する。
教典によるとカーラチャクラはシャンバラ国の王が受けた教えとされ、
シャンバラはカーラチャクラの教えの具現化された理想郷である。
カーラチャクラにはシャンバラの場所は特定されていないが
アガルタ伝説との融合によってシャンバラはアガルタの首都とされ、
いつの間にか地底の楽園シャンバラということになったらしいのだ。

アガルタに関してはこれといった文献がない。
チベット文化圏にはもともと地下王国の伝承があり、
アガルタは古代に大洪水で沈んだ地下王国であるらしい。
「沈んだ」ということからアトランティスやムー大陸に結びつけられるが、
伝承によると地下王国には世界を網羅する通路があるといわれている。
アガルタはいつしかシャンバラと結びつき、
アガルタの首都シャンバラの入り口を求める試みがさまざまなされている。




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2009年12月20日

北方の楽園

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紀元前から地中海地方では北方に楽園があるという話が
信じられてきた。
楽園の名前はトゥーレといった。
それは北の果てにあると言われ、
しばしばアイスランドやグリーンランドと混同された。
実際にゲール語ではアイスランドのことを
「Innis Tile」(トゥーレの島)と呼ぶ。

トゥーレは時代によってスカンジナビア半島であったり
スコットランドであったりしたが
ルネサンスの時代になると、つまり地理学が進むと
おおむねアイスランド、グリーンランドを指すようになった。

さて、アーリア人の起源がトゥーレであるという考えは
ナチの母体ともなったトゥーレ協会あたりの活動で広まったと思われるが
それによると、トゥーレには精神的にも技術的にも優れた
超人の民族が住んでいるとされた。
その超人の力を借りて祖国を救い、新しい優秀な民族を生み出そうという思想が
極端な民族主義につながり、ナチに受け継がれていく。
トゥーレの超人の血を受け入れる(交配させる)選ばれた民族こそが
ゲルマンであるという主張である。

しかしトゥーレ協会の結成は1918年、地理学は発達し、
航空機が飛ぶ時代になっている。
トゥーレらしき土地はこの地上のどこにもない。
こうして1938年、ヒトラーの命によってナチスの南極探検がはじまる。



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2009年12月19日

リーデンブロック教授の帰還

Stromboli.jpg

リーデンブロック教授の帰還

ジュール・ヴェルヌの冒険小説「地底旅行」で
本当に地底に行ってしまったリーデンブロック教授と甥のアクセルは
活火山のマグマの道に迷い込み
ストロンボリ火山の噴火で吐き出されて無事に帰還する。

ストロンボリ火山は有名なイタリアの活火山で
地中海に浮かぶストロンボリ島にある、というよりも
地中海から火山が顔を出しているというのが正しい。
島は東西5km、南北4.5kmと小さいが
怒りっぽい火山は間欠泉のように1時間3~4回の噴火を繰り返している。
噴火で飛び散る火山弾が夜は打ち上げ花火のように見えるために
古代から「地中海の灯台」と呼ばれていた。

さて、それにしても
マグマと共に上昇して地上に生還するのは
科学を重んじるヴェルヌにしてはかなり無理のある話だが
このあたり、ヴェルヌもかなり困ったらしく
あくまでも「特殊事態」ということになっている。

「地底旅行」は1864年の小説で、地底空洞にいたのは古生物。
1908年のエマーソン「スモーキー・ゴッド」では
高度な科学文明の国があり、
リチャード・バード海軍少将は20世紀の中ごろに
森や草原を歩くマンモスを目撃し
科学文明を持つ人々と接触したことになっている。

さて、地底の国は如何に?




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2009年12月18日

赤神と黒神

oga-hantou.jpg

龍の八郎がやってくる以前の八郎潟にはどんな伝説があったのだろう。
民話は男鹿半島に住む赤神の話を伝える。

赤神は八郎潟のほとりに住み鹿の群れを従え
笛を吹いたり弓を鳴らしたりして暮らしていた。
ある年の雪解けのころ、山の頂で背伸びをすると
豊かな水をたたえる十和田湖が見えた。
赤神が喜んで近づいてみると、
そこには機を織っている湖の女神がいた。
赤神はひと目で美しい女神が好きになり、十和田湖へ通うようになった。

一方、波のざわめく津軽の竜飛岬の海と空の間には黒神がいた。
黒神は氷の剣を腰に差し、イバラのような髭を八方に突き出していた。
黒神はいささか粗暴な神だったので
虫の居所が悪かったある日、嵐を起こし、
おとなしい岩木山のまわりを駆けめぐっておびやかし
しまいには八甲田山の頭を蹴散らすなどした。
けれどもこのとき、黒神も八甲田山の頂から十和田湖の女神の声を聞き
近づいてその姿も見たのである。
黒神も十和田湖の女神が好きになった。

赤神と黒神はついに女神を争って戦うことになった。
黒神が雲を巻き竜を繰り出して襲ってくると
赤神は無数の鹿で迎え撃った。
八百万の神々は岩木山に座って見物をしたが
黒神が勝つと思うものは右、赤神が勝つと思うものは左に座った。
黒神派の神々が多かったために岩木山の右肩は
踏み崩されて低くなってしまった。

赤神軍の二番大将の鹿が、太陽が海に落ちる夢を見て死んだ。
それから赤神の勢いは弱り
赤神はとうとう男鹿半島に追い詰められてしまった。
もはやこれまで。
赤神は岩屋の中に姿を隠し、二度と出ない誓いを立てた。
その岩屋は「空寂(くうじゃく)」という
ものごとの実態も定かでないところだった。

戦いに勝った黒神はいさんで十和田湖へ行ったが、女神がいない。
女神はやさしい赤神と暮らすことを望み
みずから空寂の岩屋へ入ってしまったのだ。

女神を失った黒神は竜飛岬に戻った。
もう冬のはじまりで、雪が舞っていた。
黒神は十和田湖に背を向け、北に向かって千年分のため息をついた。
そのとき大地は氷のように音を立てて裂け、東西の海が流れ込んだ。

こうして、津軽と蝦夷の土地が別れた。

赤神神社は男鹿半島の先端にあり土着的な信仰の対象だった。
縁起では、景行天皇の2年(西暦72年?)に
「赤神天より降れり、あるいはいわく、日本武尊化して白鳥となり、
 漢の武帝を迎う」とある。
赤神は漢の武帝であるというのが通説になっているようだ。

黒神の竜飛岬は黒い岩に荒波が打ち寄せ、
赤神の男鹿半島は赤い岩でおおわれている。



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2009年12月13日

リーデンブロック教授の地底旅行

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鉱物学者のリーデンブロック教授は
古書のなかに挟まれたルーン文字のメモを見つける。
解読してみると、そこには地球の中心へ到達する方法が書いてあり
アイスランドのスナイフェルス山の火口がその入り口だという。

ジュール・ヴェルヌの冒険小説「地底旅行」は
こんな出だしからはじまる。

教授は甥のアクセルとともに冒険に出かけ
火山の空洞のなかに
海やキノコの森や古生代の生物の群れを発見する。
地球の中心に進むトンネルは崩れた岩で塞がれていたのだが
それでもあきらめない教授は岩を爆破して
地底への道を進むのである。

この「地底旅行」に出てくるスネッフェルス山は
アイスランドに実在する。
一般的にスナイフェルス山と呼ばれている火山がそれで
古来から霊の宿る神秘の地とされていた。
UFOが飛来することでも有名で
1993年の国際UFO会議はアイスランドで開かれ
多くの研究者がこの地を訪れている。
UFOは地底からやってくるという説もあるのだ。




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2009年12月07日

ノルウェーの漁師の物語

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『スモーキー・ゴッド』という小説がある。
これはアメリカのエマーソンという作家が1908年に出版した、
いわば地底冒険旅行の物語である。

ノルウェーの漁師オラフ・ヤンセン親子の漁船は
暴風雨に遭って北へ漂流し、
上下左右が水のトンネルをくぐって地底世界へ到達する。
そこで彼らは身長が4mもある親切な巨人に出会い
高度な科学文明の地底国にとどまる許しを得る。

2年ほど地底国を見聞したヤンセン親子は
地図と黄金を土産にもらって帰路につくが
再び水のトンネルを抜けて出たところは北極の海だった。
ここでまた嵐に巻き込まれ漁船とともに父と地図と黄金は沈む。
ひとり助かった息子は氷山に乗って漂流していたところを
捕鯨船に助けられた。

地底国の話は誰ひとり信じようとしなかったが
ふとしたことで知り合ったエマーソンがこの話を聞き取って
小説にした….というストーリーで、
出版されたときには、これをノンフィクションと信じた人が
かなりいたらしい。



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2009年12月04日

バード少将が接触した地底人

600px-Antarctica_6400px_from_Blue_Marble.jpg

地底人とコンタクトしたと噂される
リチャード・バード海軍少将(1888~1957)の
飛行記録を読んだという人の証言がある。信憑性のほどはわからない。

バードは地下の世界の代表者とコンタクトした。
 地下の住人は地上の人間に似ているが、
 見た目も内面も地上の人間より美しいという印象を持った。
 地下世界は新しいエネルギーを有しており、
 光も食料にも不自由はない。
 地上の人間は何度か地下世界とコンタクトしようとして撃墜されている。
 地下の住人は地上の人間が自滅するときには手を差しのべるが
 それ以外の接触を拒絶する


この接触がおこなわれたということになっているのは1947年の南極で、
そのとき南極ではアメリカ海軍の大規模な極地探検プロジェクト
「ハイジャンプ作戦」が遂行されておりバード少将はその指揮官だった。
選抜された数千人の兵士と13隻の軍艦、ヘリコプター、
水上飛行機、水陸両用の戦車までを動員して南極に乗り込んだが
航空機の墜落や消失などのトラブルがつづき
さらにバード少将本人の行方不明という事件まで起こって
早めに切り上げられている。

ハイジャンプ作戦は南極沿岸の航空写真を広範囲に撮影し
科学的な意義では成功をおさめたことになっているが
公式記録に記載された人命や航空機の損失以外のことが
あったのではないかと推測されている



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2009年11月30日

バード少将と地底の国

800px-C-130_South_Pole_landing.jpg

アメリカのリチャード・バード海軍少将(1888~1957)は
北極南極の探検飛行で名高い人物だが
同時に北極と南極の両方で地底世界をかいま見た人物だと
噂されている。

その根源となったのは
1967年に出版されたレイモンド・バーナード博士の著書
「地球空洞説」である。
それによると、バード少将は1947年の北極、1956年の南極の
二度にわたる調査飛行で極点付近から地底に迷いこんだとされる。

これに関してはネットでさまざまな記事が露出しており
その情報の日付をはじめとする内容もまちまちで
何を信じていいのかわからない状況だが
北極で地底の大陸を目撃した記事に関してはおおむね一致している。
それは次のような内容だ。

 バード少将が1947年に北極上空を飛んでいたとき
 氷しかないはずのところに奇妙な色の穴を発見し
 接近してみると、穴の中に山脈があった。
 さらに森と川があり、マンモスのような生き物が草原を歩いており
 温度計は23℃を示していた。


バード少将は1929年11月29日に南極点への初飛行を果たした英雄であり
1946年から47年にかけておこなわれた南北の両極地の調査を行う
ハイジャンプ作戦の指揮官でもあった。
さらに1955年から56年の極点調査ディープフリーズ作戦にも参加している。

バード少将と地底人との接触は(もし真実だとすれば)
どうやら南極でのことらしいが
こちらはハイジャンプ作戦の最中である1947年という記事と
ディープフリーズ作戦の1956年の二説がある。

バード少将はハイジャンプ作戦から帰還の途中
南米の記者のインタビューに答えて以下のようなことを語っており
アメリカに帰国後、どうやら強制的に入院させられたようなので
地底人との接触は或いはこのときということに
なっているのかもしれない。

「次に起こる第三次世界大戦は、
南極から北極までを信じられないスピードで飛ぶような兵器をもった相手と
戦うことになるだろう。」




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2009年11月26日

オゾンホール

Ozon_hole_AntOzone.jpg

地球のオゾン層にぽっかり開いた穴。
オゾンホール。
南極圏のオゾンホールは
オーストラリアからニュージーランドの南あたりまで広がる。

オゾンホールは紫外線を遮るオゾンが減少した姿であり
それによって地上に到達した大量の紫外線は
遺伝子を変異させる。



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2009年11月23日

八郎信仰の荒廃

八龍神社石碑.jpg

八郎潟に棲んでいた竜の八郎は漁業や航海の守り神だったが
同時に湖をつくった国土創成の神の性質も持ち合わせている。
さらにいえば水を司る龍神であり
外からやって来た宗教の代表者である南祖坊と戦った
古い神であった。

八郎は雨をもたらす神として農民にも信仰されており
八郎潟と男鹿半島には八郎を祀った神社や祠が37カ所もあった。
八郎信仰は自然に対する素朴な信仰心だった。

八郎潟の干拓によって漁師が漁業権を失い漁業が衰退すると
八郎信仰も同じ運命をたどった。
人々の生活はもはや八郎潟と何のかかわりもなくなった。
朝晩眺めていた八郎潟が消えることは
目の前の共有していた自然が消えることだった。

湖岸の祠は干拓によって移動させられた八郎の祠は忘れ去られ
いまでは何を祀る祠なのか知らない人が多い。

自然とのかかわりが希薄になると人の心は荒廃する。
干拓という巨大な自然破壊が人間の心に与えた被害は
いまも続いている。



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2009年11月20日

八郎の宿

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毎年11月9日の夜になると
田沢湖畔の潟尻集落の人々は氏神のお堂に集まって
お祭りをした。
この夜は八郎潟に棲む竜の八郎が
田沢湖の竜女のもとに通ってくるのだが
その水音をうっかり聞いてしまうと命がなくなると
いわれていたからだ。

田沢湖の竜はいまでは辰子になっているが
それ以前は神鶴子、亀鶴子、鶴子などと書かれており
その伝説も比較的新しく成立は明治になってからだ。
それ以前は竜神信仰はあったけれど
辰子伝説というのはなかったらしい。
江戸時代、それも元禄のころの資料によると
八郎はふたつの湖の主であり
1年置きに行き来することになっているし
それから100年ほど後の資料では
春の彼岸の中日に田沢湖から八郎潟にやってきて
秋の彼岸の中日になると田沢湖に戻るとされている。
それからさらに50年も経った嘉永年間の文書には
八郎潟から田沢湖まで、八郎が人間の姿で旅をした道筋の
旅の宿まで記録されている。
それは「八郎の宿」と呼ばれ、ほとんどがその土地の旧家であり、
いまでもその家々には八郎が伝授した目薬や
八郎が躯からふるい落とした田沢湖の白砂などが残されている。
現在「八郎太郎の宿」と書かれた石碑の立つ家もある。

ちなみに八郎の旅した道筋は
八郎潟―新関―久保田―仁井田―船沢―上淀川―
大浦(旧神岡町)―土川―中川(旧角館町)―西明寺―田沢湖
だいたいこんなコースになるらしい。
羽州街道をまず南に下って、ちゃんと山を迂回している。

さて、八郎は宿を借りた家の人々に
自分の寝姿を見ないようにと頼んでいたが
人間の好奇心というものはなかなか押さえ切れないとみえて
やはりのぞいた人がいる。
大きな蛇がイビキをかいていたり
トグロを巻いていたりした姿を誰かが見たと伝えられる家もあり
そういう家ではやがて家運が傾いていったといわれている。




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2009年11月12日

八部衆のひとり

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突然ながらややこしいことを言いはじめるのだが
竜は仏教を守護する八部衆のひとりである。
もともと原始的な信仰の対象であった竜が
神道に取り込まれ、仏教にも取り込まれて
本人がなりたかったかどうかはともかくとして
八部衆のひとりになったのだ。

八部衆というのは、鬼神や動物神や音楽神が仏教に帰依したもので
八部だから八つの種族がいる。
面倒なことは放っておいてくれてかまわないのだけれど
一応書き出しておくと
天(帝釈天などに代表される天地万物の主宰者)
龍(蛇の神格化。雲や雨をもたらすもの)
夜叉(古代インドの悪鬼神が改心した)
乾闥婆(けんだつばと読む。音楽神)
阿修羅(古代インドの戦神。イランでは太陽神)
迦楼羅(かるら。竜を食べる伝説の鳥)
緊那羅(きんなら。半身半獣で人にも獣にも鳥にも属さない。音楽神)
摩睺羅伽(人の体と蛇の首を持つ)

さて、この竜のなかにもさまざまな種類があって
光も届かない海底に棲む黒竜、
飛ぶ速度が滅法早いくせに魚に化けて泉で泳ぐのが好きな白竜、
火山から生まれた赤竜、
青と勘違いされているが実は緑の青竜。
めでたい出世頭である黄竜。
とりあえず色で分類するとこういうことになる。

さらに中国では竜を生態で分類しており
鱗と爪を持つコウ竜、翼のある応竜、角のあるキュウ竜、
水中に棲む蜻竜、火が好きな火竜、鳴くことが得意は鳴竜、
戦いが好きな蜥竜(せきりゅう)、雨を降らせる雨竜、
常に天と地の間を飛んで鳳凰を生む飛竜がいる。

竜のレベル分けということも行われていて
天に昇れない駆け出しの竜から、
竜としてのすべてを備えた真の竜まで、7段階に分類される。

ひとくちに竜といっても
生態やら身分やらややこしそうである。
願わくば八郎潟の竜の八郎くんは
そんなものとは無関係にのほほんと暮らしていてもらいたいと思う。



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2009年11月06日

八郎のゆくえ

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八郎潟の干拓で棲家を失った竜の八郎は
いまどこにいるのだろうか。

伝説では、もともと八郎潟を失う以前より
冬の間は田沢湖の女竜「辰子姫」と暮らしていたので
いまでは一年中田沢湖にいるのだろうということになっている。

しかし、八郎潟から2km北に蓮沼という池があって
そこに「八龍大神」つまり竜の八郎を祀る神社がある。
どうやらこれは地元の宗教関係のグループが
棲家を失う八郎のために新しい住処を用意したものらしい。
神社そのものは古くからあって
もともとはこの沼の主である龍神が祀られていた。
そこに八郎がお邪魔したカタチになってしまっているのだが
さて、八郎くんは先輩の竜と仲良くやっているだろうか。




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2009年11月01日

むかしの八郎潟

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湖だった頃の八郎潟は、湖の分類に従うと潟湖(せきこ)だ。
風や波が砂を集めると海岸から細長く突き出た砂州が形成される。
砂州の日本代表は天橋立というとわかりやすいだろうか。
この砂州によってもともとの海から切り離され
取り残されて湖になったものが潟湖であり、
八郎潟の場合は島だった男鹿半島が砂州によってつながり
その半島の付け根に八郎潟が生まれた。
(上の写真は干拓前の八郎潟)

およそ1万年ほど昔は
男鹿半島から八郎潟は陸続きだったといわれる。
氷河期が終わって海面が上昇して男鹿半島が島になったのが
6000年前。
それから土砂の堆積で八郎潟が生まれたのは2000年だった。

干拓前の八郎潟は、東西およそ12km、南北およそ27km。
水深は最大4.7m、平均すると3mの湖で
船越水道と呼ばれる水路で日本海とつながっていた。
淡水と海水が混じり合う湖は豊かな漁場でもあり
ワカサギ、シラウオ、ハゼ、ボラなど70種の魚が獲れたという。
その漁法も独特のものがあり
帆をかけた舟でゆるゆると底引き網を曳く「うたせ舟」や
厚さ90センチの氷に穴を開けて網を広げる「氷下漁業」は
人が繰り広げる風景としても美しいものがあった。

田圃をつくるために埋め立てられた八郎潟の
米と引き換えに失ったものは大きい。



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2009年10月30日

竜の八郎の国ゆずり

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国譲りの伝説というのは言うまでもなく
大国主がおさめていた国を
アマテラスの命を受けた孫のニニギが横取りするといったような話で
天孫降臨といえば聞こえはいいけれども早い話が侵略だ。
「国譲り」という言葉通りの穏やかなものでなく
大国主の息子のひとりコトシロヌシは
呪いの天の逆手を打って海底に沈み
もうひとりのタケミナカタは諏訪湖に鎮まる。

十和田湖をめぐる竜の八郎と南祖坊の対決もプチ国譲りの伝説で
マタギの八郎が竜になって十和田湖に棲み着いていると
南祖坊という修験者がやってきて湖を奪われるという話だ。

南祖坊は都の貴族藤原氏の血を引く、いわゆる貴種である。
これが修業を積み学問を修め、修業の旅に出る。
諸国を廻っていたときに熊野権現が夢にあらわれ
南祖坊に鉄の草蛙を与えて告げた。
この草蛙の紐が切れたところを終の住処とせよ。

そして南祖坊の草蛙の紐は八郎の棲む十和田湖で切れた。
南祖坊は八郎に戦いを挑んだ。
七日七夜戦いはつづき、八郎はついに南祖坊に負けて
十和田湖を追い出され、放浪の旅に出ることになるのだ。

この国譲りならぬ「湖譲り」の伝説ですぐに思いつくのは
もともと日本列島に住んでいた蝦夷(エミシ)と
大陸からやってきたとされる倭人のことだ。

4世紀ころには倭人の古代国家が成立しつつあり
その勢力は東北の南あたりまで及ぼうとしており
7世紀から8世紀にはしばしば大軍を率いて東北へ侵攻し
蝦夷を征服している。

十和田湖の噴火は915年の8月、
倭人の国家が平安時代の中期を迎えたころに起こった。
この噴火が八郎と南祖坊の戦いの様子だと伝えられるが
東北の北の果ての蝦夷たちが巨大な噴火を目の当たりに見て
自分たちの戦いの歴史になぞらえたのかもしれない。



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2009年10月27日

水のなかの蜘蛛

釧路湿原.jpg

ミズグモは水の中に棲むことのできる唯一の蜘蛛です。
アメンボのように水面を走りまわったり
いっとき水に潜ることのできる蜘蛛はいますが
水中生活のできる蜘蛛はミズグモしかいません。

ミズグモはカラダを覆う毛と毛の間に空気の泡ができるので
水中では銀色に光ります。
その泡はアクアラングの役目を果たしています。
また、ドーム型の巣にも空気をたくわえています。
水面に出て、腹と後足の毛の隙間に大きめの泡をつくってそれを抱え
また水に潜って巣の中に放ちます。
これを何度も繰り返して、巣に空気を入れるのです。
酸素濃度が薄くなれば巣の空気の入れ替えもします。

ミズグモはときどき水から出てカラダを乾かさないと
カラダの表面の泡を維持できなくなります。
水から出られなくなったミズグモは水底に沈み
そのまま溺死してしまいます。

水辺の釣り人、滝のそばの木こりなどが
水中から伸びた蜘蛛の糸に引きずり込まれそうになる話は
全国各地にありますが
これはミズグモのことでしょうか。

実際のミズグモは体長1センチほどの小さな蜘蛛です。

*上の写真はミズグモの生息地のひとつ釧路湿原


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Tokyo Copywriters' Street 09年9月放送
タグ:蜘蛛の巣
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2009年10月25日

滝に棲む美女

滝.jpg

天城の谷から北へ流れる本谷川の水を集めて
落下する滝がある。
明治のころから浄蓮の滝と呼ばれるようになったが
昔はただ「下(しも)の滝」と呼ばれていた。

その頃のことである。
付近の農夫が心地よい春の日に滝の音を聞きながら
麦畑のそばに腰をおろしてひと休みしていると
美しい女郎蜘蛛が自分の足に糸を巻きつけている。
糸はどんどん太くなるが
農夫は自分の泥だらけの足と木の枝を間違えて
糸をかけているのだと思い
そこらにあった桑の木に糸をかけ直してやった。
すると大地がとどろき、
桑の木は根こそぎ滝壺に引きずり込まれてしまった。

あの女郎蜘蛛は滝の主に違いない。
農夫はそれ以来、滝のそばの畑には近寄らなかったので
春が長けて麦は実っても畑は草に覆われ
農夫も蜘蛛に出会ったことは誰にもしゃべらなかった。
この農夫はやがて名主に出世し、滝付近の樹木の伐採を禁じた。

それから長い年月が過ぎ
その農夫の子孫の男が掟を破って滝の上の木を伐ろうとしたところ
手をすべらせ斧を滝壺に落としてしまった。
男は剛胆にも斧を求めて渦巻く滝壺に飛び込んだ。
すると滝の底の岩陰で手招きするやさしげな女がいて
自分の姿を見たことを誰にも言わないことを条件に斧を返した。

以来、男は滝壺の女郎蜘蛛を見たことを恐れるあまり
酒びたりになってしまったが
そんなある日、突如として雷鳴がとどろき
白い火柱のなかから女郎蜘蛛が姿をあらわしたという。
数日後、男の死体は滝壺に浮かんだ。

けれども、この事件にはもうひとつの秘話がある。
男は滝壺で見た女が忘れられず、
毎日のように滝に通って躯が衰弱していった。
近隣の寺の和尚は、男が滝の主に取り憑かれたのだとして
男と一緒に滝に行き経を読むと
果たして滝から蜘蛛の糸が男に向って伸びてきた。

このあきらかな印を見て女が蜘蛛だと悟っても
男はあきらめようとはしなかった。
しまいに山の天狗にまで頼みに行ったが
天狗も男と蜘蛛の結婚を許さなかったので
男はなにもかも捨てて身ひとつで滝壺に向って走った。

すると滝壺から白い糸がするすると伸びて男をからめとり
男はとうとう滝壺に沈んだという。

浄蓮の滝は伊豆の天城山のなかでも第一の大滝で
高さ25m、滝壺の深さは15mあり
断崖と渓谷に阻まれて昔は人が近づけなかったという。




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タグ:蜘蛛の巣に
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2009年10月22日

夢見山

白拍子画.jpg

夢見山は甲府市にある標高500m足らずの小さな山です。
武田信玄の父信虎がこの山で戦勝の祝い酒に酔って寝ていたとき
夢枕に女が立って
いま奥方が生んだ子は曽我五郎時政の生まれ変わりだと告げたという
その印をもって夢見山と呼ばれるようになったといいます。

お告げを受けて生まれた武田信玄もある日夢見山に登り
大きな岩にもたれてうたたねをしていると
夢の中に女人があらわれて三味線を弾いて聞かせるといって
寄木で三味線を組み立てはじめます。
さて三味線を弾こうというときに信玄が目をさますと
蜘蛛の糸でぐるぐる巻きにされていました。

それ以来、蜘蛛は戦になると信玄の枕元に立って
勝ち戦を赤い糸、負け戦を白い糸で教えるようになりました。

ところで、信玄といえば
ノロシによる高速情報ネットワークを構築し
また直線の軍用道路をつくったことでも知られています。

戦争に勝つための基本は情報にあります。
武田信玄は蜘蛛の巣のように張り巡らされた情報ネットワークの中心に
蜘蛛のように君臨していました。



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タグ:蜘蛛
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2009年10月18日

ある日、国際宇宙ステーションで

382650main_image_1459_800-600.jpg

2008年の秋
「蜘蛛は宇宙でも巣を張れるのか」という実験のために
国際宇宙ステーションに持ち込まれていた二匹の蜘蛛のうち
雌が逃走したというニュースが流れた。

一方、残った雄は無重力にパニックを起こしたのか
めったやたらと巣を張りめぐらし
飼育ケースの中に糸巻き状のものができてしまったという。

共食いならば食べかすが残っているはずだし
ケースの外だとしたら宇宙ステーションが蜘蛛の巣だらけに
なっているはずだし…というわけだが
いったいどうしてしまったのだろう。

なお、かつてスカイラブ3号(1973年)でも
蜘蛛の巣の実験が行われたが
このときの蜘蛛は、巣の中心に向うほど網の目が荒いという
地上とは逆の巣をまずつくり
それから2日後にやっと順応して
地上のときと同じ巣を張ったと報告されている。

蜘蛛もパニックになるわけですね。



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2009年10月07日

蜘蛛が象徴する

p16.jpg

繁栄:家の中に入って来た蜘蛛は繁栄を約束するので殺してはいけない。

霊界への案内:死者の魂を運ぶという民間信仰がある。

自由の象徴:古代インドの教典では自由の象徴と描かれる。

知恵:ネイティブアメリカンの神話では火をもたらした存在。

治癒:蜘蛛の巣の治癒力を利用して皮膚移植に使われることがある。

死と再生:繰り返し巣を張って犠牲者を殺すことが死と再生の儀式。

幸運:アルプス地方では背中に十字模様のある鬼蜘蛛が幸運の印。

自己愛:精神分析においては自己愛の肯定と解釈される。




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