2011年09月24日

ディオニュソスの放浪

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ディオニュソスはもともとトラキアあたりの神さまだったらしい。
酒の神なので、その儀式は集団的な興奮や恍惚感につつまれており
要するに酔っぱらい集団が怖いものなしに暴れる様子を想像すれば
わかると思うのだが
そんなわけで、そのときどきの為政者に禁止されることがあった。
しかし祭り好き集団はたいして言うこともきかず
暴れまくっていたようだ。

ディオニュソスには出生の秘密ともいうべき長い物語があるが
たぶんそれは彼がギリシャに受け入れられ、
十二神の仲間入りを果たしてからさまざまな土着の神話をまとめて
つくりあげられたと思うので
とりあえずここでは紹介を省き
ただ、ディオニュソスがギリシャの神々の仲間入りをするまでの
長い旅をざっと書いておきたいと思う。

まずエジプトとシリアをさまよい歩く。
トラキアではエドノス族の王に追放される。
(女の信者が亭主を放ったらかして乱舞したせいだといわれる)
テーバイでは王の母を狂わせ、息子殺しをさせてしまう(酒は怖い)
オルコメノスでは言うことをきかない王の娘三人をコウモリに変えてしまった。
アルゴスでも信徒にならなかった娘三人を発狂させた。
ナクソス島へ渡ろうとして海賊に捕まったときは
マストと舵を櫂に変え、自分は獅子の姿になり、あまつさえ甲板に熊を召還した、
海賊どもは逃げ惑い海に飛び込んでイルカになってしまった。
葡萄の産地エレウテライに来たときも信仰を怠った王の娘たちを狂わせた。
後に王はディオニュソスを祀り、娘たちももとに戻っている。

このへんがギリシャとその周辺におけるディオニュソスの冒険だが
ディオニュソスは実はインドまで遠征し、征服したという話もある。
神話とアレキサンダー大王の伝記がごちゃまぜになったような話だが
まあワインが東へ伝わった程度に考えていいかもしれない。
インドにはシヴァ教があり、ディオニュソス教とともに
農耕文明の自然崇拝から発生した精霊信仰を受け継いでいる。

ディオニュソスの放浪の大部分は信仰の弾圧と
それに対するディオニュソスの反発というパターンで、
@ ディオニュソスの行く先々で信者の女が義務を忘れて楽しみにふける
A それに従わない権力者の娘、または弾圧する権力者
B 報復するディオニュソス
ということになっている。

要するに他所から来た権力者に都合の悪いディオニュソス教が
どうしようもなく受け入れられる過程が旅の物語として伝えられているのだ。
嫌われまくったディオニソスは結局のところ
民衆の人気に負けてギリシャの神々の仲間になった。

物語にはディオニソスの行くところ女の信者が酩酊して狂乱した様子が
よく描かれているが
とどのつまりは、日頃は抑圧されている女性が、
たまには亭主や子供のことを忘れて楽しんでもいいじゃないのよ、と
まあそういうことからはじまって
ついには男性もひっくるめて法や束縛からの解放という意味合いになったのだと思う。

ディオニュソスはさまざまな土着の神の集合体といわれるが
その中心はトラキアの北あたりらしい。



出演者情報:瀬川亮 http://www.weblio.jp/content/瀬川亮
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