2011年06月07日

ジョナサン・スウィフトの A Modest Proposal (穏健なる提案)

js2.jpg

ジョナサン・スウィフトには恐ろしく長いタイトルの著書があって
ちょっと書きだしてみると
 A Modest Proposal: For Preventing the Children of
  Poor People in Ireland from Being a Burden to
 Their Parents or Country, and for Making Them Beneficial to the Public


さらに翻訳すると
アイルランドにおける貧民の子女が、
 その両親ならびに国家にとっての重荷となることを防止し、
 かつ社会に対して有用ならしめんとする 方法についての私案


A Modest Proposal (穏健なる提案)は
要するに上記の長いタイトルを縮めたものだ。
その内容は、窮乏の末に死んでしまう大勢の子供たちを
1歳で食肉として利用するという提案である。

この著書はアンドレ・ブルトンがブラックユーモアの三大著書に挙げているが
もともとユーモアとして書かれたものではない(言うまでもないが)
アイルランドの窮状がこれほどまで悲惨なことになっている訴えであり
救済ができない政治への激烈な皮肉である。

幸いこのテキストは青空文庫に日本語訳があるので
その一節と日本語訳へのリンクを掲載しておきます。


当事者であれば、以下のことに同意してもらえるだろう。
我が王国において、厖大な量の子供が、
乞食である母親(父親のときもある)の腕に抱かれたり、
背中に背負われたり、後ろを歩いていたりしている。
子供たちは悲惨な状態にあって、非常に多くの問題をもたらしている。
それゆえ、子供たちを社会にとって健全かつ有用な社会的財産にするための、
公正で、安価で、簡単に実行できる方策を発見できる者がいるならば、
その者は社会にとって望ましい人であるから、
国家の保護者として銅像を設置するに値しよう。

だが私の目的は、ただ公然たる乞食の子供を救うにとどまらない。
より広義の目的は、ある特定の世代における子供全体の数を減らし、
その子供を産んだ親を実質的に援助し、
それによって通りで慈悲を乞う人々を助けようとすることにあるのだ。

私は数年間、この重要な問題について思いをめぐらし、
他の方々の計画を慎重に見ていった。
その結果、この方たちは大きな計算違いをしておられると考えざるをえなかった。
確かに、生まれたばかりの赤ん坊は、丸一年間は母親の乳で育てられ、
他の食べ物はわずかですむ。二シリングもあれば十分だろう。
母親もそれくらいの金や残飯は、乞食商売で正当に稼げるだろう。
私の提案は、子供が丸一歳になった時に救いの手を伸ばそうというものである。
この提案を実行すれば、子供が両親や教区に負担をかけたり、
死ぬまで衣食に苦労させるかわりに、
何千もの人々に食料と(幾分かは)衣料を提供することになるのだ。

私の提案にはもう一つ大きな利点がある。
それは、堕胎を防止し、
母親が私生児を殺すという恐ろしい事態を防ぐことができるのだ。
ああ! そんなことが我が国で横行し、無垢な赤ん坊を死に追いやっているのだ。
おそらく恥辱を隠すためというよりは出費を避けるためであろうが、
これにはいかに極悪非道な者の胸にも同情の涙を催さずにはいられないであろう。


青空文庫の「穏便なる提案」:http://www.e-freetext.net/mdstj.html



出演者情報:大川泰樹 http://yasuki.seesaa.net/  03-3478-3780 MMP
posted by Read at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | Voice & Story| edit | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/206396363
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。