2008年12月17日

文學ト云フ事05「雁」(森鴎外)

文学に見る作家の私生活 3

「舞姫」もそうなのだが
森鴎外はなぜ前途ある青年を描くときに
若い不幸な女を必要とするのだろう。

この小説は高利貸しの男の妾になった若い女が
ふとしたきっかけで美男で品行の良いエリート学生岡田に憧れる。
女は岡田に近づきたい一心で
知恵の足りない工夫をあれこれ考えるがなかなか実行できず、
ついに今日こそと思い立った日もふとした偶然で未遂に終わり
翌日、岡田は洋行してしまう。

この小説において、エリート学生の岡田は
貧しく無教養な女にとって高値の花であるように描かれている。
またこの物語を語る「私」は鴎外の分身と思われるが
やはり女に対する視線は冷ややかだ。
洋行帰りの軍医総監である森鴎外は
保守的なエリートをここでもひたすら肯定しているように見える。


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