2011年04月17日

シリウスの暦とヘリアカルライジング

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ナイルの洪水が始まる日は日の出前にシリウスが昇った。
シリウスは全天でもっとも明るい星である。
いまは青白いが、古代の文書には「赤」と書かれているのが不思議だ。
本当にアルデバランのような赤い星だったのか、
それとも「明るい」を「赤い」といったのか、そのあたりがわからない。

エジプトで暦が生まれた頃
シリウスはナイルの洪水を予測する位置にあった。
なにしろまる1年ズレる古代の暦を
現代の暦に換算するのは無理と思うので
いまは現代の暦を使わせていただくと
シリウスは5月〜6月は昼間に空にあるので見えない。
そのシリウス不在のときを過ぎると
ヘリアカルライジングがやってくる。
それは消えていたシリウスが再び姿をあらわす日で
日の出直前に、太陽を導くようにしてシリウスが昇るのだ。
それは夏至のころだったという。
そして、その日からナイルの洪水がはじまった。

古代エジプト人はヘリアカルライジングを観測していたので
1年365日で閏年のない暦だと
毎年ヘリアカルライジングがズレていくことも知っていた。
シリウスを基準にすると、エジプトの計算では
ヘリアカルライジングの元旦を迎えてから
次のヘリアカルライジングの元旦を迎えるまでに1460年かかる。
つまり1460年でまる1年の誤差が生じるのだ。
(実際は1507年のようなのだが)

100年くらいで滅びてしまう王朝ならば
そこまで暦がズレることもないが
エジプト文明はあまりにも長かったので
太陽神ラーからもらった暦はあまりにもズレまくった。

そこで、古代エジプトでは内緒の暦があり
4年に一度はこっそり閏年をもうけていたのだ。
それは農業用の暦で、種を撒く時期などもこれで決めた。
そりゃあそうです。
洪水の水が引いておらず、畑は水浸しのときに
ラーの暦が「収穫せよ」と命じても無理ですからね。


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2011年04月10日

3つの季節プラス5日

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エジプトの季節は3つに分けられた。
アヘト=ナイルの氾濫期
ペレト=水が引いて畑をつくり種を撒く時期
シュム=収穫の時期
この3つの季節はそれぞれ4つの月を持ち
4つの月はそれぞれ30の日を持った。
30日×4月×3季節で360日
この360日に5人の神さまの誕生日の5日を加えた
365日がエジプトの1年だった。
この暦は神から与えられたものとされた。

太陽暦とはいいつつも
1月という概念は月の満ち欠けからきたものだろう。
月の満ち欠けの周期は29.27日から29.83日だ。
で、1月を30日としておいて1年12ヶ月で360日。
5000年も昔ならばこれでも十分な気もしないでもない。
わずか1000年前の日本の暦でさえ
年内に立春が来てしまうような事態もあったわけなのだ。
(年のうちに 春は来にけり ひととせを
 去年とやいはむ今年とやいはむ 在原元方)

しかし古代エジプト人はここに5日を加えた。
その5日を加えた理由というのが面白いので
長くなるがざっと書いておく。

地の神と天の女神は兄妹でもあり仲の良い夫婦でもあったが
あまりに仲良くて離れようとしない、
つまり天地が分離しない。
そこで怒った父親の大気の神がふたりを引き離し
ここに天地は分離するのだが
すでに天の女神は妊娠していた。
太陽神ラーは1年360日でこの世を支配していたが
天地の分離が遅れたことに腹を立てていたラーは
360日どの日も出産禁止にしてしまった。
それを気の毒に思った知恵の神トトが360日以外の日を作るべく
時の支配者である月のもとへ行き勝負を挑んで勝った挙げ句、
どの月にも属さない5日を勝ち取ったのだという。
この5日のおかげで
オシリス、ハロエリス、セツ、イシス、ネフティスという
エジプト神話の重要な神々が生まれた。

しかし、1年365日でも本当は足りなかった。
4年に一度の閏日が必要だった。
そのことは古代エジプトの人々も観測が進めば当然わかっていたのだが
しかしラーに遠慮したのか怒りを恐れたのか閏日を用いなかった。

閏年のない暦はどうなるかというと
1500年もするとまるまる1年ズレてしまう。
しかし、短命な古代エジプト人の寿命からすると
一生で起こるズレは数日だったので目くじら立てるほどのことは
なかったのかもしれない。
しかし、ラーが与えてくれた暦の他に
閏年のある暦もこっそり使っていたらしい。


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2011年04月03日

ふるさとにチカラを










Voice:大川泰樹

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エジプトの暦のはじまり

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エジプトの暦は毎年起こるナイルの洪水からはじまる。
ナイルは世界最長の川で、その全長は
在ウガンダ日本大使館のHPによると6695kmだ。
ただそのHPにはナイルのはじまりがビクトリア湖になっている。
実際にはビクトリア湖の先にも川が存在し(ルヴィロンザ川)
その川の源流がナイルの源流といえる。
ビクトリア湖から下流の国を数えても
ウガンダ、スーダン、エチオピア、エジプトの四カ国を流れ
地中海に注ぐのだ。

ナイルの氾濫はエチオピア高原に降った豪雨が
青ナイルを流れ下るからだといわれている。
洪水は上流から超えた土を運んでくるし
土の塩分を洗い流してくれる。
乾燥地帯で作物をつくるために水をやると
土のなかの塩分が水に溶けて毛細管現象で表面に蓄積する。
塩分の蓄積した土壌は砂漠よりも不毛な土地になるのだが
エジプトでは都合良く毎年洪水が起こって塩を洗い流し
おかげでナイルデルタは古代から世界有数の穀倉地帯だった。
これも洪水のおかげである。

ナイルの洪水は毎年同じ時期に起こる。突発的な洪水はなかった。
しかし洪水は洪水なので恵みももたらしたが被害もあった。
ところが洪水の当事者であるエジプトで雨が降るわけではなく
洪水の元は1000km以上も向こうにある。
種子島の先で降った雨が東京で洪水を起こすようなものだ。
いまここで降っていれば大雨洪水警報を発令して避難もできるが
種子島で降った雨なぞ誰が知るかというときに
ナイルは水かさを増していくのだ。
それも長距離を流れるせいで雨から1ヶ月以上の時差がある。
ナイルの恩恵は欲しいが被害は食い止めたい。
それにはまず洪水の予測である。

日の出のときの太陽の位置や星の動きで
1年というものがわかってきた頃に
雨も降らないのに毎年同じ時期に洪水になることにも
誰かが気づいたに違いない。
春夏秋冬のないエジプトでは季節は3つに分けられた。
ナイルの氾濫の時期、種を撒く時期、収穫の月の3つである。
洪水を予測し、季節を正確に区分したい、
そんなことからエジプトの暦ははじまった。
それが遅くとも紀元前3000年のころだったそうだ。
(Wall Street Journalでは紀元前4241年としている)
当時の暦は太陽暦で1年は365日で閏年はなかった。
そして、洪水のはじまる日が1年のはじまり、元旦になった。


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